先日の保育士研修で『火星人と言葉の力』という講演会に参加してきました。
講師は、『うちの火星人』著者の平岡禎之さん&ワッシーナご夫妻。
ワッシーナさんがお話をしている時、平岡さんが温かい目で奥様を見守る姿が印象的でした。
平岡家では、奥さんであるワッシーナさんとこども達4人全員が発達障害を抱えています。
発達障害とは?
これまで、社会で認知されていなかった発達障害。
近年では、発達障害の子どもが増えてきている、大人にも発達障害を抱えている方がいるなど、ニュースでも取り上げらるようになり、平成17年4月から「発達障害者支援法」が施行され、少しづつ理解されやすい社会になってきました。
当事者や周りのご家族は様々な困難や苦しみを抱えて生きづらい社会だと思います。
発達障害は、生まれつき脳の発達が通常と違っているために、幼児のうちから症状が現れ、通常の育児ではうまくいかないことがあります。成長するにつれ、自分自身のもつ不得手な部分に気づき、生きにくさを感じることがあるかもしれません。
ですが、発達障害はその特性を本人や家族・周囲の人がよく理解し、その人にあったやり方で日常的な暮らしや学校や職場での過ごし方を工夫することが出来れば、持っている本来の力がしっかり生かされるようになります。厚生労働省みんなのメンタルヘルス引用
発達障害には種類がある
発達障害は、いくつかのタイプに分類されています。
生まれつき脳機能に偏りがあることは共通しています。
いくつかの発達障害を抱えるケースもあり、発達障害の程度は個人差が見られます。
自閉症スペクトラム障害
- コミュニケーションが苦手
- 強いこだわりがある
- 皮肉を言っても通じない
- 言語による指示を理解できない
- 相手の感情や表情が読み取れない
- 興味をもったことに関しての知識が豊富etc…
注意欠如・多動性障害
- 集中力がない
- 落ち着きがない
- 課題をやり遂げられない
- 課題に取り組みたがらない
- 気分の変動が激しい
- 順番を守れない
- 外部からの刺激で気がそれやすいetc…
学習障害
- 文字を一つ一つ拾って読む
- 文末などを適当に変えて読む
- 数字や記号を認識することが困難
- 数字や数式を理解できていない
- 繰り上がり、繰り下がりが理解できないetc…
発達障害の区別は難しい
発達障害である『自閉症スペクトラム障害』『注意欠陥多動性障害』『学習障害』の症状をいくつか見て、私にも当てはまるけどな~と思いませんでしたか?
算数の計算は苦手だし、コミュニケーションも苦手という方も多いと思います。
誰にでもある症状だからこそ発達障害との区別が難しい理由の一つです。
症状の程度が異なるということを私たちは理解する必要があります。
発達障害のグレーゾーン
発達障害にはグレーゾーンと言われるものがあります。
いくつか発達障害の特徴がみられるけど、検査の診断基準を満たしていない場合はグレーゾーンとなり、発達障害の診断が受けられない場合があります。
発達障害には個人差があり、必ずしもみんなが同じ特徴ではないのに診断基準があるという矛盾点が感じられます。
当事者自身が生き辛さを感じているので、グレーゾーンの方々への対処も必要です。
講演会で学んだ発達凸凹
今回、『うちの火星人』著者である平岡ご夫妻の講演会では、発達障害の当事者である平岡一家が実践したことや困難や課題を乗り越えるための工夫を聞くことができました。
奥さん、子ども4人が発達障害を抱えている平岡家ですが、一人ひとり異なる発達障害の特性を理解し、把握していました。
そして、一人ひとりに合った接し方や工夫を実践したそうです。
発達障害を抱えている方は、時間にルーズだったり、約束が守れなかったり、片付けができないという特徴があります。
一般的に見たら行儀・性格が悪い、躾が悪い、努力不足と思われがちです。
脳機能に偏りがあり、できないことはできないのが発達障害です。
平岡夫妻は、当事者の子ども達の為に発達障害の研究資料を何度も見直し、言葉かけを意識して様々な工夫をし、周囲の理解や協力を得ながら、子ども達一人ひとりに合った環境を整えていったそうです。
- ボードを使う
- タイマーを使う
- 謝る練習をする
- できないことはやらなくていい
- 毎週「ふりかえり」を
- 良質な睡眠
- 家の中はシェルター
- 演劇や演出を学ぶetc…
平岡夫妻は、ペアレントトレーニングやストレスマネージメントなどを学ぶことをおススメしていました。
また、学校や職場、生活の中でストレスを感じ鬱病と診断される方の中で、実は発達障害が原因だったという事もあるそうです。
発達障害を抱えていることに気が付かないまま過ごしていると、学校や職場、生活にストレスを感じ、鬱病を発症しては悪循環になってしまう為、注意が必要です。
平岡夫妻から発達障害を抱えている子に対してやって欲しくないことが伝えられました。
- 急な予定変更
- あいまいな指示
- 大声の指示
言葉は脳の中枢であり、前向きな言葉で行動、習慣、運命を変えられる。
言葉かけと行動の工夫で元気に!が大切であることを伝えられました。
発達障害に対する理解が必要
これまでにも保育士として、発達障害に関する研修を受講してきました。
初めて当事者の講演を聞くことができて、考えさせられることが大きかったです。
同じ社会の中で生きている方が、生きづらさを抱えてSOSを出しているかもしれません。
生きづらさを感じながらも懸命に生きている発達障害の方々。

私自身が保育現場だけで活かすだけでなく、多くの方々に発達障害に対する理解や知識を伝えたいと思いました。
発達障害を抱えている当事者の方や周囲の方にとって、『うちの火星人』は共感できる部分がたくさんあると思います。
研修会場にも発達障害のお子さんがいる保育士ママがいました。
「平岡先生の本を読んで心が楽になりました」と感謝を伝える場面がありました。
平岡一家が発達障害と向き合う姿から、私も元気をもらいました。
困難と闘いながらも笑いの絶えない家族ってすごいですよね。
ユーモアたっぷりの4コマ漫画『うちの火星人』をぜひ、読んでみてくださいね!
うちの火星人 5人全員発達障がいの家族を守るための“取扱説明書” [ 平岡禎之 ]
続・うちの火星人 全員発達障がいの家族から学ぶ、個性とともに生きる知恵 [ 平岡禎之 ]

ありがとうございました!
コメント